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ホキ美術館/千葉市



ホキ美術館が素晴らしかった。


実は、絵画のなかでもとりわけ写実絵画に興味があったわけでもなく、 実は、メインは佐倉市立美術館のフランソワ・ポンポンだったし、 実は、建物は見てみたいなと思うくらいの気持ちでうかがったのだけど。


そして、写実絵画だけを一館分鑑賞するという経験もはじめてで。 でも「一館まるごと」だからこそ、写実絵画とは写真のように書くことが目的ではない、ということが理屈ではなく理解できた気がするし、作品が放つ圧倒的な熱量みたいなものは作者がキャンバスを見つめ続けた時間に比例するような気もして(気のせい、の可能性は大。笑)深呼吸をしながら観ないと酸素が足りなくなりそうな時間でした。 特に、三重野慶さんの作品は印象的。二度戻って観たくらい。 美術手帖の岩井俊二×三重野慶の対談で、 「完成した絵って、一枚の絵として止まっているので静かなように見えますが、実際にはつくられる工程において絵描きはひたすら筆を揮い 、饒舌で賑やかなものが頭の中を駆け巡っているはずで、絵にはその賑やかさや忙しなさが内包されていると思うんです。」 と岩井俊二さんが語っていて、まさにそれです!と思ったのだけど。


一枚の絵が内包する、伝えたい思いや情報や、感じてもらいたい何かが、表現が「そのまま」だからこそいっそう自分に問われている気がして、きっとここから感じる「思い」があるとするならそれはきっと「向こう側」にあるのではなく「こちら側」にあるのだろうな。


言葉にできないことを、伝える。

それはかつてのロマネスク時代の宗教画とは違った意味で、もっと本質的な言葉にできない何かを伝えるために、あるいは言葉にできない何かに気づかせるために、写実絵画はあるのかもしれない。

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